住んでいる島のカフェの一つに先日娘とお昼ご飯を食べに行きました。
部屋の一角の窓から海が見えるそのお店は、普段からちょくちょく利用させていただいています。
その時のお客は私たちだけ。
お料理が出てくるのをゆっくり待ちながら店内を見回すと、旅行のガイドブックが何冊か置いてあるのが目に入りました。
「インド」のガイドブックを何とはなしに手に取りました。
インド・・・お釈迦様がお生まれになった国。
仏教の聖地のページをパラパラ眺めながら、ある場所で手が止まりました。
ラージギル
ごつごつとした岩肌が見える山の景色や、地平線に沈む夕日とおぼしき写真に目が釘付けになりました。
お釈迦様の時代の強国マカダ国の首都ラージグリハが現ラージギルで、当時の国王ビンビサーラ王は、お釈迦様に深く帰依し教団の一行を厚くもてなしたとのことでした。
ここに行ってみたい!!
なぜか強烈に思いました。
本はボロボロで、使い尽くした感がありました。
もしかして・・・とカフェのオーナーさんに尋ねると
「インド行ったことありますよ!生きるエネルギーがすごく高い国。
行って思想というか、人生観変わりました。」
インドを旅した方がここ私の住んでいる瀬戸内海の静かな島におられたことに驚きました。
オーナーさんは、ラージギルが一番印象深かったとのこと。
あら、私と心のつかみ所が似てる・・・
「それほど高くない山頂に祭壇の跡のような遺跡があって、周りがゴツゴツした岩山が広がって・・・突然そこでスコールに遭ったんですよ。
岩穴に籠もって雨を凌いだのですが・・・自分の力ではどうしようもない状況で、何というか・・・受け入れるというか、あるがままの境地というか・・・その時に人生観が変わったんです。
翌日風邪引きましたけどね!」
そう話すオーナーさんの表情が、お釈迦様の説法を直に聞いたかのように山上を吹きゆく風のような自然さであふれていて、お話を聞くだけで癒やされる思いがしました。
聖地の一つ、サールナートの地名をオーナーさんの話で耳にした瞬間、「鹿野苑」という言葉が頭をよぎりました。
確か、最初にお釈迦様がお説法を始められたとき、鹿も聞いていたとかの場所だったような・・・
その時、脳裏に映像が観えてきました。
木々に囲まれた草地に、静かに説法をしている1人の僧をぐるりと5人の僧が囲むように座って話を聞いている景色。
すると、林の中から次々とたくさんの鹿が現れ、あるものは頭を垂れて、あるものは座り込んで僧の話に耳を傾けている・・・
説法をしている僧はお釈迦様なのだと思いました。
この映像にうっとりして、一瞬オーナーさんのお話に上の空でした。
いかん、いかん、人にお話をお願いしておいて!
新たなお客さんの来店でお話はそこで打ち切り。
カフェを後にしました。
ふと見上げて、この空はインドにも続いているんだよね・・・
インドに行けるかなあ・・・
いつか行ってみたいなあ・・・
と思いました。
娘も「行ってみたいね」と。
カフェに入るときまさかこんな心持ちの展開になるとは!
自分の心の有り様にビックリ仰天のある日の午後の出来事でした。